2021年10月4日月曜日

親子で将来の介護について話し合っておくべき理由

 


◆親子で将来の介護について話し合っておくべき理由


こんにちは。
医療ソーシャルワーカーの横井です。



私は10年間医療ソーシャルワーカーとして、
日々多くの患者さま・家族さまから医療介護に関する相談を受けてきました。



10年医療介護相談を受けてきてあらためて感じることは、
ほとんどの方が「突然の病気や怪我に直面してから介護問題に頭を抱えている」
ということです。



はっきり申しますと介護問題を解消するためには「対策が9割」です。



加齢は全ての人にやってきます。
どんなに元気な方でも、一流のアスリートでも、
有名な医者でもいずれやってくる介護を避けることはできません。



認知症医療の第一人者である長谷川和夫先生も、
自らが認知症になった事実を題材に著書を出されています。



いつ病気や怪我をして歩けなくなるかは予測できません。
90代まで元気な方もいますし、70代で寝たりきりなってしまう方もいます。



介護問題を深刻化させないためには、
元気なうちに家族間で話し合っておくことが大切です。




◆5割の人が病気や怪我をしてから介護の必要性に気づく





2019年にSOMPOホールディングス株式会社が実施した
「親の介護に関する調査」結果では、まさに私が感じている調査結果が
掲載されていました。



調査項目に
「あなたが親の介護が必要だと感じたきっかけはなんですか?」という設問があるのですが、
「親が病気や怪我をしたとき」と回答した人が50.9%という結果でした。



さらに驚いたのが「親から依頼」が3.0%だったという結果です。



親子間で将来の介護の話をするというのは、
なかなか気まずいことから話し合いの機会をもてないといった方も少なくないと思います。



しかし、調査の結果から親からの申し出はほぼ期待できないことがわかります。



つまり、将来の介護対策を行うには
子から親へアプローチしなければはじまらないということです。



また、「あなたは親の介護に備えて、何か事前に準備をしていましたか?」という設問に対し
「何もしていない」と答えた方が33.0%という結果も出ています。



2人に1人は親の病気や怪我に直面して介護問題を抱え、
3人に1人は何も準備をしていないということになります。



いかがでしょう?



もしあなたが何も準備をしていなかった場合、
突然やって来た介護問題にどのようにして対応されますか?



親子で話し合うだけで未来は変わります



もちろん、
病気や怪我の治療、介護が必要になった方が安心して
日常生活を送れるように支えるのが私たち刀圭会の使命です。



しかし、本当に大切なのは
「困ってから対処するよりも、困らないように対策する」
ことではないでしょうか?



そして、もっとも基本的な対策が「親子で話し合っておく」ことです。



・介護が必要になったら自宅生活を続けるのか?施設に入るのか?
・誰に介護をしてもらうのか?
・施設に入るための予算はあるか?どのように準備するのか?
・お金の管理は誰が行うのか?
・延命治療は希望するか?



ほんの一部を例にあげましたが、
こういったことを事前に話し合っておくことで、
将来のイメージが具体的になり準備すべきものや課題がわかります。



難しい話ではありません。



「何も準備していない状態で介護問題を抱えてしまう方」
「準備や対策をしていた状態で介護問題を抱えてしまう方


どちらの方が困らないかという話です。



まずは親子で話し合ってみてください。
そして、課題がみえ知識や情報が必要になった時、
私たち医療ソーシャルワーカーをはじめとした専門職を頼ってください。



きっとお力になれるはずです。



次回10/5(火)
テーマ「問題の本質を見抜く力が大事」を投稿予定です。



協立病院 地域医療連携課 横井